公開: 2024年3月25日
更新: 2024年7月31日
望月由紀氏によると、不登校の問題は、日本社会でも、戦前からあったとされています。戦前では、不登校を起こす原因は、主として教員にあったとされています。これは、教員の知識や生徒たちを指導する能力に問題がああったからだと考えられます。戦後の日本社会でも、1950年代の末ごろから、再び、不登校の問題が注目され始めました。このとき、精神医学の専門家たちが分析した結果、不登校を起こす主たる原因は、不登校生徒の「家庭にある」とされました。
2020年以降の日本社会でも、不登校の原因が「家庭の育て方にある」と考えている人々は、少なくなかったと言われています。しかし、最近では、多くの専門家は、主たる原因が、「不登校生徒の無気力」にあると考えられています。これは、不登校になった生徒たちが、「学校での教師による授業を理解することが難しくなり、学ぶことをあきらめる」傾向があるからだと分析されています。学校での学びに、意欲を持てなくなった生徒たちは、学校へ行かなくなったり、学校へ行っても、教室で教員の説明を聞いて学ぶ態度を失ったりしているからです。
1950年代の末から、不登校が問題視されるようになった背景には、当時の日本社会では、戦前と同じように、学校へ通うことが、生徒としての絶対的使命であると考えられていたからのようです。現代の日本社会でそのような考え方を持つ人々の数は、少数のようです。
望月由紀著、不登校論の研究: 本人・家庭原因説と専門家の社会的責任、批評社(2018)